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【INTERVIEW】Sunny Side Up代表 松本正勝さん 「『おじぃの店、行こや』。そう言われるまで続ける。」

1992年にガレッジでオープン。1996年に無国籍百貨をオープン、その後2001年にショウザンビルへと移転。

アメ村の古着業界の生き字引でもあり、歴史のひとつとして街を象ってきたアイコニック的存在。

長く業界と街を見つめてきた松本さんが、いま見るもの、そして思うこととは。

「うさんくささは大事。古着屋ってそういうものだと思うよ」

ー古着の魅力に出会ったのはいつでしょうか?

 アメ村のお店の前には西成で雑貨屋を営んでいました。それ以前は量販の紳士服屋に勤務。知り合った人を通じた縁からフリーマーケットに行くようにもなり、そこで古い時計の魅力を教えてもらったんですね。時計からはじまりライター(ZIPPO)へ。その派生から古着にはまりこむようになり、仲良くしている知人に誘われて、1989年に初渡米。当時は知識もなく、現地で知り合った人などに教えてもらったりしてカルチャーを深掘りしていった感じですね。僕が10代のときに西海岸ブームがスタートして、サーフィンなどカルチャーにハマった先輩から古着を譲ってもらったりしてましたね。それこそ初めて買った古着は心斎橋で。ミリタリーブームのさなか、そのアイテムを探しにきたんですけど、まぁお店はうさんくさかったですね。

 アメ村で最初に店を構えた場所はガレッジ。それこそフリーマーケットみたいな場所でした。古着に注目が集まった最初期の頃で、古着が好きという人や小さいお店でも儲かるからという動機から開業したい人が多かったんですよね。だから権利や保証金がなくて、そのかわり家賃が髙い。無国籍百貨時代もややこしい物件で、家賃は裁判所に払っていましたし。うさんくさいでしょ。

ーうさんくさいけれども通う、通えた理由は?

 いまでは無人の古着屋さんをはじめ、サイトやSNSを通じてどこでも古着が変える時代。けれど90年代はそうした場所にいかなければ買えないし、ましてや見ることもできない。だからうさんくさい場所でも人が集まってきていましたし、そこではお互いに知識がないまま適当な会話をしていることが多かったですよ。事実が噂になったり、噂が事実になったり。その混沌とした状況が面白く、またみんなをわくわくさせた要因でもあったと思うんですけどね。ただ、誰でも古着屋ができる。例えば社会に出たことのない子でもお店ができるわけで、接客態度もそうですが「古着屋の店長は怖い」とよく言われていましたね。いまみたいに表通りに店を構えて「いらっしゃいませ」なんて感じじゃなかったんですよ。良く言えば隠れ家ですが、まぁみんなお金がないから裏通りやビル奥にお店をオープンしていたんです。

 無国籍百貨を出ようといろいろ探しているなかで声をかけてくれたのが、ショウザンビル。いまでも変わらずな雰囲気ですが、当時では珍しく契約書もあるほどクリーンな環境なんですよ。ここで初めてから20年を超えましたが、ビルの雰囲気は変わっていないですね。一方で古着業界が変化したなと感じたのは、ここ10年くらい。それこそJAMさんがきっかけだと思います。ローカルな寺田町で有名になり、それこそ店頭でしか売れない! ネットで古着なんてだめだと言われていた環境を変えた。そこから古着屋の規模が大きくなり、スタイルが変わりだしたなと思います。

カルチャーは成熟していくもの。

その変化にどう対応するのかが粋。

ー古着業界の変化をどのように感じているのでしょうか?

 これは日本だけじゃなくてアメリカも一緒なんですよ。クロスロードというセカンドストリート的なお店がありましたが、この流れからビンテージじゃない日常着を扱うビッグストアが増えてきているんです。売り場だけの話じゃなくて、現場にももちろん変化が起きています。これまでは大御所のバイヤーが値段を決めるシーンでしたが、コロナ禍を経て、20代の若者がsnsを駆使して中心的な存在になってきています。かっこいいはもちろんですが、洋服そのものへの価値やバックボーン、フックの付け方が上手。彼らも商売なので知識やスキルを使い、新しい古着の世界を作り出しています。

 カルチャーは成熟していくものですから、この動きがあって当然。どう乗るのか、向き合うのか。古い話をすれば、なんでも安いという時代はありました。そこにひっぱられて値段を変えずにいれば、お店は成り立たない。アメリカに行かず国内とかで買い付けたものを売るだけだけでいいか。というのも違うなぁと。現場での発見や勉強はたくさんありますし、まだみたことのないものを届けたいという欲求もある。その狭間でどうスタイルを再構築するかが大事ですよね。

ー目指すべき古着屋像、自身の将来は?

 「破れてるのに1万円もすんの!」と言っていた若い子たちが、いまでは「いつか買うわ」と古着の価値をわかる時代に変わってきた。そうやって増えてきた面白い子がいる一方で、アメ村という街はそうした若い子だけのための街になってきてもいる感じはします。昔は受け入れる懐が深い、広かったといいますか。いまの若い子と同じ年齢から40~50代のおっちゃんまでが楽しめるカルチャーがあったのかなと。タワレコがなくなって、レコードショップもなくなって、それが好きだった人はこなくなっちゃいますからね。古着屋もどんどん変化していくとは思います。

 ただ、そうあっても個人商店がなくなるということはないでしょうね。業界の中心となっているお店にはない雰囲気。ただしゃべって、ゆっくりくつろいで。いまでは店の前でタバコ吸うことはないですけど、それでも寛ぎすぎなのかもしれませんが。まぁそうした雰囲気。常連が店でしゃべっていると入りにくい、怖い印象。まぁうさんくささですよね。そうしたこれまでの古着屋が放っていた、もしくは醸し出していた雰囲気は残っていったほうがカルチャーとしては面白いかなと。好きだから続けている。まだ見ぬものを届けたいなという思いから。

 時計にライター、そして古着。いまはインディアンジュエリーにと、好きは入れ替わり立ち替わり。扱う商品が変わることでお客さんも変わりますし、お互いに新しいモノやコトへのアプローチを増やしていっていると思います。とくに若い子は、大型の古着屋さんに行きながらも僕たちのような個人商店のお店にふらっとやってくる。良くこれるなぁと思いつつも、そのフラットな感覚がすごくいい。まだ彼らにおじぃとは言われたことはないですし、自分でもおじぃとは思っていませんが、そう言われるまでお店は続けたいなと。それがいまの目標で、自他共におじぃと認める日まで好きを貫きたいなと。

Sunny Side Up

SHOP DATA

店名

Sunny Side Up

取扱ブランド

Levi's | Brooks Brothers | Ralph Lauren

カテゴリー

ユーズド | メンズ

Tel

06-6213-3208

営業時間

13:00〜19:00

定休日

水曜定休(買付時臨時休業有)

住所

大阪市中央区西心斎橋2-13-13 ショウザンビル105

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